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影山木材は、自然素材で循環型資源である駿河桧・駿河杉の供給を通し、ココロとカラダの“幸せ”を育む「生活環境創造」を支援します。    影山秀樹
by h_kgym
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安倍川・薩摩土手名残の松
2月9日(木)に「静岡のみどりを増やす会」の公開フォーラムに参加しました。

300~400名ほどの参加者の会でしたが、市内の著名な皆さんがあちこちにおられて、冒頭に長々と県知事が挨拶、市長がフル参加、ゲストに俳優の赤井英和氏という豪華な顔ぶれでした。内容は、いかに静岡市内の街路樹が少ないか、どうして少ないのか、行政の対応は?、市民の意識は?、というものでした。

しかし、静岡市のなんとも情けないこと・・・・。

市民100人あたりの街路樹の本数は僅かに2.9本。全政令市中、下から2番目です。1位の広島市は48本ですから、実に16倍もの差があります。その街路樹の維持管理費用が静岡市は2.2億円、広島市は4.8億円。とても納得できる数字ではありません。

街路樹の剪定の仕方も話題になりました。静岡市では落葉した後の苦情が数多く寄せられるので、秋になって赤や黄色に色づいてくる前にバッサリと剪定してしまうことが多いようです。電線も地中化されているところは少ないので、あまり伸びすぎないように枝を切りまくる。だから枝の広がりが少なく、上にも伸びることができない、奇妙な形の街路樹が多いのです。対比に出された韓国の大邱市のプラタナスの街路樹の画像は本当に素晴らしいものでした。

どうやら、基本的に市の緑化政策は市民からの苦情の対応が中心になってしまっていて、思うような街の景観や環境を作り出すことができなくなっているようです。他の都市では地域住民が中心となってやっている街路樹の維持管理を、市が職員を派遣したり造園業者に委託してやっているので、本数の割に大きな費用がかかっています。

この状況の根本的な解決は、市民の側にキーがあると思って間違いなさそうです。
落ち葉の掃除がたいへんだから、
雨樋が詰まってしまうから、
日陰になってしまうから、
蝉がうるさいから、
・・・・苦情や要望はたくさんあります。行政が対応すると、最終的には木を伐るという対応になってしまうのも理解できなくはありませんが、それでは本末転倒です。

そういえば、パネラーでご参加下さった、駅前に素晴らしい並木道のある国立市元市長の上原公子さんは迫力がありました。市政8年をまっとうされた実績から出てくる言葉には重みがあります。市長1年生の我が田辺市長はたじたじでしたが、きっと立派な市長になってくれると信じています。

このフォーラムの中で、ショッキングな事実が知らされました。
安倍川・薩摩土手名残の松_f0119697_1211119.jpg
大里中学の裏手、中野新田の土手に、薩摩土手の名残の松が56本残されています。樹齢は200年くらいと推測され、中にはかなりの巨木になっている木もあります。私は時々この土手の上を車で走るので、いつも見上げて癒されてきました。

その松の木が13日の月曜日にすべて伐採される予定になっているとのことでした。
その事実をアナウンスしたとたん、会場は落胆・悲鳴・怒り・失望などの感情に包まれました。

伐採予定日まであと4日。あまりにも時間がなさすぎます。

どうすることもできないまま、フォーラムは終了。私はやるせない思いだけを心に残して会場を後にしました。

翌日の2月10日。
午後4時から大崩の松風閣で会合があったので、その前に中野新田の松を見に行きました。現地には昨日のフォーラムを受けて、民放の取材でカメラマンとリポーターが来ていました。
安倍川・薩摩土手名残の松_f0119697_1212235.jpg

松の巨木は数日後には伐られてしまうのを知ってか知らずか、力強い幹とは裏腹になにか物寂しげにたたずんでいるように見えました。改めて見上げてみると、太い枝はほとんど剪定されてしまっていて、ただ太い幹だけがそそり立っており、枝葉は上部に残っているだけで、私にはとても痛々しく見えました。木材業者の悪い癖で、木材としての価値を考えてしまうのですが、これだけ激しく剪定されていると、切った部分から雨水が入って内部に悪影響を及ぼしているのが想像されます。

安倍川・薩摩土手名残の松_f0119697_12125249.jpg
この木がすべて数日後には伐られてしまう・・・・。

職業柄、木を伐ることに対しては罪悪感は薄いのですが、それでも200年の歴史をここで消し去ってしまっていいのか、市内に僅かに残る薩摩土手の名残をまた一つ無くしてしまっていいのか、悲しい気持ちでいっぱいになりました。
安倍川・薩摩土手名残の松_f0119697_1215486.jpg

しかし・・・・その松の傍は住宅が密集しています。住宅から見て松の向う側は安倍川の河原で、方角は西向き。当日もそうでしたが、松の方から常に強い西風が吹いているのが想像できます。屋根や庭に降りそそいでくる葉や枝は、そこに住んでいる人にしか解らない悩みになっていることでしょう。「松の方が先にあった」と言えば確かにその通り。しかし今は、後からそこに来た人に権利を認める社会になっていますから、悪いのは社会の構造そのものなのかもしれません。



この松は少し離れたところにポツンと立っています。
安倍川・薩摩土手名残の松_f0119697_12132183.jpg

こちらはのびのびと枝葉をのばしているし近くに民家もないので、伐られることはないでしょうね。ついでに・・・なんてことがないように注意しなくてはいけませんね。




今朝になってfacebookに嬉しい知らせが。
とりあえず伐採は一時ストップになったようです。

これで議論する時間ができましたね。
対立ではなく、議論で解決できればと思います。

by h_kgym | 2012-02-11 13:09 | 静岡地域ネタ
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